眠り姫

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「終わったら おやつにしようね」   早百合は 終わったらの所を強く発音する。 食べながらやるのは 集中力に欠けると言いたいのだ。   「ハーイ…」   早百合は 奥から 何だか難しそうな本を持ってきて読んでいる。 アレ?宿題は?   「早百合も宿題やらないの?」   同じクラスなのだから 同じ宿題が出てる筈だ。   「やっちゃったよ 10分休みの内に 問題少なかったから…今日 しかも古文だけだし宿題は」   本から 顔をあげて いとも あっさり答えた早百合。 あんた 凄いよ… 妄想癖さえなければ 天才だよ…   「あ…そうなんだ は…早いね けっして簡単でもないけどね」   引き攣り笑いを 浮かべる私   しばし 私の鉛筆の音と 早百合の 頁をめくる音だけが 部屋に響く。   私語厳禁的な 空気が充満。  何とか 全問記入する。   「はぁー 終わったー」   こんなに集中して 一気に宿題をやった事は 今まで無かった。 頑張ったぞ 私…   早百合が ゆっくり顔を上げた。   「机の下に 他の問題集があるから 3頁分 解いてみて…」   「はい?」   早百合の言った言葉が 日本語に聞こえなかった。   「先生 少し休憩が 欲しいです…」   思わず 先生と 言ってしまった。 早百合と目が合う 全く顔が笑っていない。   「はい…やります…」   私は机の下の 問題集に手を伸ばし 始めの頁を開いて 取り掛かった。   何てこった… こっちは 頼まれて来てるのに 何だか立場がおかしいな… やっぱり私は 勉強が嫌いだ…   「その間に 宿題を見るわね…」   早百合は 読んでいた本を 脇に置いて 宿題のプリントを 手に取った。   上に 持ち上げて 目を通す  「何だ こりゃ?」   一言呟く… 間違いを発見したらしい。 気が散って 問題集には 集中出来ない。 何とか30分程かけて 3頁の問題を解く。   「終わった?」   冷たい口調で 早百合が聞く。   「終わりました…」   唇を尖らせて 私は答えた。
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