眠り姫

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真剣な早百合を無視する形で 私はノートを写した。   「普通の夢じゃないのよ!毎日連続してるの…前の晩の続きを 次の日に見るのよ…」   「へー 変わってるねー それは 無いなー」   相変わらず 本気で聞いていない私。 それでも 必死に話す早百合。   「夢の中で 私は さっきも言った通り 姫なんだけど 私の国は 今年天候不良で 作物が全くの不作になって 大変なの…国民達も飢えに苦しんでる状態でね…」  「国民達ね…随分偉い身分だね…庶民ども!頭が高い!ってか?」   ほとんど写し終わって 私は顔を上げた。 早百合の顔を見ると 何と涙ぐんでるではないか?   「アレ?どうしたの?涙出てる…あ…ノートサンキュ…で…何?国民が飢え死にでもした訳?…」   宿題は 万全になったし 少しは真面目に 聞かなきゃかな? 私は 半分馬鹿にしながら聞いてる姿勢をとった。   「多分 飢饉で 国民もかなり亡くなったりしてるわ…」   「それで泣くなんて 心優しい お姫様ね…」   早百合は ポロりと涙を一滴流した。   「違うのよ 確かに飢饉は大変な事よ…でも 私が悲しんでいるのは そんな事じゃなくてね…」   あらら…心優しいお姫様と言う前言 撤回…   「あまりの事に 父である国王が悩み…隣国の国王に相談を 持ち掛けたのよ」   夢なんだよね? 想像力逞しいな 早百合は…   「隣国 トポパ王国は 石油に似たエネルギーの豊富な国で そのせいで 凄く裕福なの…国王は それはお困りでしょうと 援助を快諾してくれたの…でもね それには条件があったの…」   そこまで 言うと涙が ぽろぽろ流れた。 私はティッシュを渡しながら   「夢に そこまで入りこまなくても 良いじゃない?泣く事は無いよ…疲れちゃうじゃない」
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