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「どうせ 私は出来が悪いですよ…じゃあ行くね」
「ハイハイ…早百合ちゃんよろしくね…」
「わかりました 有難うございます」
早百合は ペコりと
頭を下げた。
全く 大人受けが良いんだ
この子は…
確かに 優等生だから しょうがないか…
「早百合行こう…」
私は先に 玄関に向かった。
「あ はい 失礼します」
「はい 茜の成績が せめて学年で中間より上に なりますように…」
あー?私は 早百合に頼まれて泊まりに行くのに
何だか 嫌味を言われて無いか?
「母さん!うるさい!」
私は 玄関のドアを閉めながら 叫んだ。
二人で 早百合の家に向かって歩いた。
私達の家は
それぞれ学校から徒歩15分位の所にある。
早百合の家は とにかく立派だ。
庭は広く 芝が青々と生えそろっていて。
父親の好みなのか 庭の真ん中に 池があり
丸々とした 錦鯉が優雅に
泳いでる。
「あっ 餌忘れてた…」
早百合は 庭の隅にある
物置から 鯉の餌を 走って取りに行き
投げやりな 感じに池に
ばらまいた。
激しい水しぶきが 立った。鯉は 腹を減らしていたらしく 我先にと 餌を吸い込んだ。
それを見て早百合は
ハァーと溜息をついた。
「可愛いと 思う?コレ…」
「あっ 可愛いと言うか 綺麗じゃない模様がさ」
「そうか…綺麗か…私はちっとも 可愛いとも綺麗とも思わない 餌あげてると 魚の養殖してる気分になる。 でも父が大事にしてる宝物だから 大事にしなきゃね…」
「高価なんでしょ?大事にしなきゃダメだよ」
早百合が 不満げにものを言うのを初めて聞いた気がする。
「小さい時 ボール遊びしてて 間違って池にボールが入ったら 父に凄い剣幕で 怒られたんだ…鯉が死んだらどうするんだ?ってね だって池を庭の真ん中に作るからじゃない?」
「そうだね…はじに池作れば良かったのにね?」
かなり 怒られた事を根に持ってるね?
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