第一章 紅い月の夜

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―――ふ、と寒気を感じ、どことなくけだるい身体をよじる。 ……あれ、私どうして… 寝起きでぼうっとする頭を叱咤し、辺りを見回す。 そこは見慣れた自分の部屋で、私は勉強机の上に伏せて眠っていたらしい。 机の上の時計の針は午前1時を指していた。 ようやく正常になってきた脳から記憶を引っ張り出す。 たしか…私、数日後に控えた試験勉強してたはず…………そっか、きっとそれで、うたた寝しちゃったんだ… ひとつに繋がった経緯にすっきりして、改めて室内に目をやる。 ……え……? 部屋の中に感じる違和感。 風音「な、何これ…!?」 勉強途中で寝てしまったのなら、つけっぱなしでいいはずの明かりが消えている。 そのせいか室内は暗く、しん…としていた。 しかし、それだけではなかった。 どういうわけか ―――部屋が、ぼんやりと赤く照らされていた。
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