第一章 紅い月の夜

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………な なに、誰なの? 何言ってるの、この人… 頭はただ混乱する。 窓閉めようとしたら月が紅くて、見てたらなんだか怖くなって、そしたら人がトンデキテ……… ???「ウェンディ?」 風音「!? きゃあっ!!」 その怪しい人は、私のすぐ鼻先に顔を寄せていた。 突然のドアップに私は後ずさる。 ……落ち着いて、私…… あまりの恐怖に心臓がうるさい。 まずは状況整理…… スキを見せたら、駄目…!! 意識を飛ばさないように必死になりながら、初めて怪しい人物の姿をまともに見る。 栗色…よりも少し暗い、けれど綺麗な髪は襟足がやや長い。 前髪は鼻のすぐ上まで伸びていて、目は片方しか見えない(それさえ時折見えなくなる)が、どうやら瞳の色は赤らしい、それも………真っ赤。(何人…?) 所々綻びているけれど、鮮やかなグリーンのゆるいTシャツに近い上着の袖は二の腕まで。 鎖骨がほとんど見えていて、その中央には赤い十字架の入れ墨。 下はアイボリーに似た色の、これまたゆるめの膝丈パンツ。 さらに靴はぺったんこな茶色のブーツ、上着よりも濃い緑の帽子………。 …当然だが、見覚えは全くない。
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