風吹く街で

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クロスの流れるような指の動きは、空気中を滑っていく。 指の後には光の軌跡が残り、形を成す。 クロスは息を吸い込み、詠唱を始める。 「《天秤座》【リーブラ】!!彼の者に制裁をくだすか?」 その凛とした声に答えるように、ポンと軽い音がして、煙が立つ。 その中には三十センチほどの小人がいた。 『…するべきでない、ですね。彼一人でも大丈夫です』 小人はゆっくりと答えた。 クロスはコクリと頷き、見守ることにした。 「でっかいねーこの竜」 前衛に行ったユルは、にこにこと竜に向かっていった。 彼にどうみても殺意をだいているようにしか見えない竜に。 「…クロスは手出ししないのか。じゃあ楽勝だな」 ユルはふっと笑って走るのを止めた。 「出てきなよ。召喚竜を呼んだ誰かさん」
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