風吹く街で

2/15
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
吸い込まれそうな青い蒼い空。この時ばかりは空を旅する羊も居ない。 その下に広がるは、荒野。珍しい、白亜か何かでできているのか。 辺り一面雪が降ったように、白い。 そこに、ぽつんと二つの点があった。 金と、薄桃の点。 それは、人間だった。 「ここの一族もかよ…」 金の点…十五かそこらの少年…が呟いた。 己の無力さを、かみしめるように低く、重い声で。 「ユル、仕方ないわ…ここは、もう随分と時間が立ってる」 薄桃の点…十七位の少女…は静かに目を伏せて首を横に振った。 「…それでも。オレが過ちを犯したことには変わらないよ、クロス」 ユルと呼ばれた青年はしゃがみ、白亜のような欠片を拾った。 ユルが持っていたものは、白亜ではなかった。 それは、白い白い……骨。 人骨だった。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!