3人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
「ごめんなさい…」
ユルはコツンと人だったものの残骸に額をつけ、謝罪の言葉を紡ぐ。
「ごめんなさいごめんなさい」
何度も、謝る。
「ユル…」
クロスと呼ばれた少女はそれを静かに見ていたが、ゆっくりと口を開いた。
その澄んだ翠の瞳に哀しさを宿して。
「判ってるよ」
ユルがクロスを振り向いてこぼした。
その瞳はクロスと同じく哀しさとそして憂いを帯びていた。
「…ごめんなさい、痛かったよな、苦しかったよな」
そしてまた骨に向き合う。ユルはしゃがんでそれを今度は地にそっと置いた。
生きていたとき、その骨の仲間だったであろう骨の地面に。
「せめて、神に魅入られないように祈らせてください」
ユルは立ち上がると、ゆっくりと息を吸った。
そして、吐き出す息に言葉を添えていく。
最初のコメントを投稿しよう!