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「正式に君の配属先が決まったよ。分かっているね、君のすべきことは。」
「はい。」
分かっている。数年前からずっと、言われ続けてきたことだ。
従属する組織に入ったことで背負わされる何か。それが善良であるかは分からない。ただ、ひとつ分かっていることは……ここで生きていくためには、何かに縛られなければならないということだ。
これもまた然り。
反逆などあり得ない。任務だと割り切ればいい。そういわれ続けてきた。
上が今みたいに無機質に命を出せば、それを無機質に実行する。それが理であるとすら感じていたのだ。
だだ、あの日を除いては。
「君は優秀だ。」
しんとした部屋にざわつくのは、不安という感情ではない。ただ答えを出すならば、声なき圧力。失敗は死につながるという……。
だからどうしたと睨み返してやりたい。
しかし少年はそうしなかった。
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