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今は亡き人にこんなこと言うのも何だけど、なかなかやってくれちゃうよね、あの人。
「それで、時間屋を恨んでるとか?」
僕が聞くと、キスはふるふると首を振った。
「お前」
「え?」
一瞬、耳を疑う。
ずい、と指をさされ、僕の思考は停止した。
「お前が現れたからこんなことになったんだ、てさ」
僕。
確かに、偶像崇拝がずっと前からその人と付き合っていたのなら、もしかしたら僕を疫病神みたいに思うのも仕方がないのかもしれない。
それにしてもよく狙われるもんだ。
我ながら、凄い。
「俺は助けてやれねぇぜ、夢路。今別件で仕事抱えてるからなぁ」
「ええー!?お姉ちゃんなんでしょ?止められないの?」
僕は焦ってキスの肩を掴み、がくがくと揺すぶりながら懇願した。
友達の兄弟に狙われるのは嫌だ。
ここは是非とも、キスの力を借りたかった。
時間屋だって会ったことのない人だ。どんなに僕のことを恨んでいるかなんてわかりやしない。
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