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時間屋は、不思議そうに首を傾げた。
それもそのはず、僕らのことを知っている人は数少ないはずだ。
裏の人間の一部に関わることもあるが、電話をかけてくることが出来る人なんてそうそういない。
せいぜい友達や退廃世界のような人間だけだ。
「どなたでしたか?」
時間屋は鞄を取り上げて、僕を見た。
「えっと、鏡さんって人」
それは確かだ。きちんとメモを取ったし。
僕はそう言いながら、時間屋の後ろについて歩き出した。
この後は予定が無い。
僕はパラノイアの教会に顔を出そうかと考えていた。
「鏡…知らない名前ですね…まぁいい、明日一応行ってみましょう。待ち合わせ等はしたんでしょう?」
「一応ね。でも知らない診療所だった」
「診療所…」
ポケットからメモを取り出して、確かめる。
「えぇっと、時田診療所」
いきなり、時間屋が足を止めた。
「時田?」
知っていたのだろうか。
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