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ある日、バートは風の丘と呼ばれる丘の天辺にある、木の上で遠い景色を眺めていた。
その丘からは、ここ周辺の森、湖、草原を見下ろすことができ、その丘の天辺には一本の木がはえてるだけ、あとは草原のみが広がる。だけど、木の上から見える景色は絶景だ。
でも、バートに見えるのは絶景ではなく、遠くの空にある薄暗い雲しか目に入らなかった。
バートは朝いつもここへ来ては、傷ついた羽を精一杯動かし木に登る。
登った後は痛みが走り、15分から30分ぐらいうずくまった後、遠くを眺め、日が落ちる頃家に帰る。そんな生活がずっと続いていた。
そして、そのある日のお昼頃2人は出会う。
ミルクは普段散歩するのが好きで、よく色々な所に出歩く。この風の丘は、ミルクの村からは少し遠いが、もう村周辺を歩き尽くしたミルクは、今日は遠くへ行こうと決めていた。
ミルクは走って丘の上に登り大きな声で、
ミルク「うわ~、お~」
っと叫ぶ。
それはそうだ。こんな景色見たら誰だって叫んではいられない。
その時、バートは、
バート「うるさ~、もう、こんな所で叫ぶなんてベタすぎだろ。木には登って来るな…来るな……」と心の中で呟く。
ミルクは、バートのそんな気持ちを裏切るよう、高鳴る気持ちを押さえきれず木に登ろうとした。
丁度、その後バートはどんな奴か見てみようと軽く見下ろした。
目がパッとあった。
バート「うわ~、目があった」
ミルクが陽気に話しかける。ミルク「こんにちは、そこから見える景色はどうです?」
バート「まぁまぁ…」
全く、愛想の無い口調で答える。
ミルクは気にせず会話を続ける。
ミルク「君の名前は?」
バート「バート…」
ミルク「よくここにくるんですか?」
バート「たまに…」
ミルク「そちらに行ってもいいですか?」
バートはコクリと頷くが超嫌がっていた。
ミルクは横に座り、
ミルク「うわ~、すごいですね。こんな景色久しぶり見た」
だが、その言葉を発した後、ミルクは急にダンマリとする。
そこから10分ぐらい沈黙が流れる………
その後、急に立ち上がり、
ミルク「そろそろ帰ります。」
と言い、木から降り、10m程歩いて、こちらを振り返りると、
ミルク「また、来てもいいですか?」
と問いかける。
バートは、小さくコクリと頷くいた。
そして、ミルクは帰った。
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