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冬子にしてみれば、周りの人間は鈍感極まりなく、不愉快な存在の集合であった。
徒党を組み、くだらない話を唾を吐き出しなから大声でわめき立てる集団は低俗すぎて、自らそこへ加わろうなど夢にも思わなかった。
機械に守られながら、無菌の保育機で過ごす赤ん坊がうらやましくてならず、自分がこの世に生を受けたことが、疎ましくてならなかった。
母の胎内にいたことも不潔に感じ、母の陰部から生まれ出たと想像する度に、吐き気と戦いながら、全身を激しい力で洗い流すのが常だった。
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