22人が本棚に入れています
本棚に追加
剣と魔法のある世界。
ここはとある王が治める国。
ある王様がこんな御触れを出しました。
《この国で一番美しい声をもつ娘を妻にする。妙齢の女性を全て城に集め、歌わせよ》
そして、大勢の娘が一斉に歌うなか、ひときわ美しく歌う娘がおりました。
娘は王に見初められ、王の后になりました。
しかし、彼女は名乗ることも赦されず、王様以外と口をきいてはならず、部屋からでることも出来ません。
王様は彼女をカナリアと呼び、家来達は彼女を王の小鳥と呼びました。
カナリアの仕事は王様の書類を読むこと。実は王様は殆ど目が見えません。生来のものではなく、昔は見えていたのですが、今では目を凝らしても人影が判る程度です。
知っているのはカナリアと王の側近のみ。幸いにも、王の側近達はカナリアにとても親切にしてくれました。
カナリアはたまにこっそり歌うようになりました。その歌声は美しく、正に国1番の歌姫だと、だれもが彼女を褒め称えました。
ただ1人、この国の王様を除いては。
最初のコメントを投稿しよう!