王様の御触れ

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 剣と魔法のある世界。  ここはとある王が治める国。  ある王様がこんな御触れを出しました。 《この国で一番美しい声をもつ娘を妻にする。妙齢の女性を全て城に集め、歌わせよ》  そして、大勢の娘が一斉に歌うなか、ひときわ美しく歌う娘がおりました。  娘は王に見初められ、王の后になりました。  しかし、彼女は名乗ることも赦されず、王様以外と口をきいてはならず、部屋からでることも出来ません。  王様は彼女をカナリアと呼び、家来達は彼女を王の小鳥と呼びました。  カナリアの仕事は王様の書類を読むこと。実は王様は殆ど目が見えません。生来のものではなく、昔は見えていたのですが、今では目を凝らしても人影が判る程度です。  知っているのはカナリアと王の側近のみ。幸いにも、王の側近達はカナリアにとても親切にしてくれました。  カナリアはたまにこっそり歌うようになりました。その歌声は美しく、正に国1番の歌姫だと、だれもが彼女を褒め称えました。  ただ1人、この国の王様を除いては。
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