依頼1

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―――カラカラ グラスの中で氷を揺らす音。 その音を鳴らす主、ウィリアム・ギバルシュはとある場末の酒場にいた。 右頬に目立つ大きな傷があり、一重瞼の目つきは異様に鋭い。 一目見るだけで堅気ではないとわかる男だ。 「確認するが、こいつを殺るだけでいいんだな?」 ギバルシュが手元ね写真に目をやりながら問い掛けた先、隣の席にもう一人、男がいた。 「あぁ。死体はそちらで処分してくれ」 こんな物騒な話をしているなか、真正面のバーテンは表情すら変えず、黙々とグラスを拭いている。 さながら、映画やドラマに出てきそうな光景だ。しかし、そんな状況に似合わない“違和感”が二人の男にはあった。 「わかった。この依頼承けた。報酬は約束通り頼むぞ」 ギバルシュがニヤッと悪人独特の引きつった笑みを見せる。しかし、その頭には… 女性物の下着が被さっていた。 「頼むぞ。失敗した場合は報酬はなし。わかってるな?」 そう返した依頼主の男も… 頭に女性物の下着を被っていた。 「安心しろ。今まで依頼にしくじったことは一度もねぇ」 ギバルシュはまたもニヤッと卑しい笑みを浮かべた。パンティを被りながら。   「頼むぞ。必ず、必ず、殺ってくれ」男は先ほどまでの無表情を崩し、パンティを被ったままギバルシュ以上の卑しい笑みを浮かべた。 そして言った。 「あの忌々しい男の息子、カミムラユウイチロウをな」
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