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一軒家のリビングと思わしき場所に二人の男がいた。
いや、この場合は『二人の男』という表現するのは間違ってるかもしれない。
改めて表現すると、そこには一人の青年と一人の壮年の男がいた。
「わかりました。私はコレを殺ればいいんですね?」
その青年…いや、人によっては少年とも呼べる風貌の男は言った。風貌から判断するに年齢は15~18くらいだろうか。
顔立ちは比較的整っている部類だろう。ざんばらに切りそろえられた黒髪、意志の鋭そうな目つき。世間的に評価されても“美少年”ではないが“いい男”とは呼ばれるだろう。
「“コレ”とは物のような扱いだな…。まぁ、そうだ」
壮年の男はずっしりとした体格をしている。顔もストレス社会に生きる中年男性のような顔はしておらず、年齢相応の威厳のある顔をしている。
「だが……大丈夫なのかね?」
その威厳のある顔が心配そうに歪みながら尋ねた。
「何がですか?心配など不要ですよ。私は依頼に失敗したことはありませんからね」
青年は今にも鼻で笑いそうに、得意気な顔をして言った。
しかし、その得意気な顔の下にはとてつもない違和感があった。
青年は全裸なのだ。
「…………」
壮年の男は憂鬱そうな顔をして沈黙している。それもそうだろう。
大事な依頼をフリチン男に頼み、その男が「俺は依頼に失敗したことがない」と得意気に語っているのだ。
憂鬱になるのも仕方がない。
「私の格好が気になるのでしょう。だがしかし、心配いりません。いや、むしろ何を心配するのです?人間の本来あるべき姿は裸なのです!僕は自由だ!フリーダム!」
青年は叫んだ。自分の中のすべてを吐き出すように叫んだ。そして続けた。
「必ず依頼は果たしましょう。“神村”さん」
そこでやっと、神村と呼ばれた壮年の男は威厳のある顔を取り戻した。
そして言った。
「頼んだぞ。Mr.菊原。ヤツを…ギバルシュを殺ってくれ」
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