快速急行に乗って

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冬の日、17時32分発の快速急行に乗ってどこにいこうか。 8両編成のちょうど真ん中ぐらいの車両に乗り込むと、座席は埋まっていた。それで、ドアの近くに佇み外を見る。少しか、だいぶんか、その暮れ具合はあまり覚えていないけど、まあ夕時で、見慣れた街の、いつもの風景を何とはなし眺める。 と、別段、変わったところは無い。そうしてその街を見る自分も、大して、思う事もなく、いつもの様に仕事を終え、一旦帰宅してから、こうして電車に乗っている。他の乗客を見回し、いろんな人がいるなあ、と今更ながらに思い、それぞれの生活をふと思い、暖房が強すぎる、と暑がったりしている。 一つ目の停車駅で、座っている人が降りたので、そこに座り、携帯電話を取り出し、大して意味も無い事をし、暗くなった街を眺め、冬の街を見る。でも、僕にとって、だけか知れないけど、いつもの様の、やや寂れた街であって、乾燥した(恐らく)、冷たい空気に、寒そうなしぐさをする人達をそれとなく見やるだけ、とも思える。 ゴトゴト走る電車に乗り、乗客を見ていたり、窓から外を見ていたり、ちょっとした事を考えていて、そうしてる間に、目的の駅に着いた。気付いたら。という事は無いけど、いつもと同じような時間で目的地に着いた。 地下にある駅を出て地上に出、僕を待っていたのは、なんと、いつもの街であった。冬の街。 そりゃそうだ! 少しも笑わずそういって、普通に歩きだす。 どこへいこうか?
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