wheel

プロローグ

「俺はいつか必ずオランダに行ってやる…ここからが本当の自転車ライフのはじまりだ！」
心の中で誓った雄機だが、緊張は隠せない。
周りには人が一杯。
様々な形のヘルメット、サングラス、ユニフォームを着ている。
雄機を含めてここにいる人間全て選手だ。
これからMTBのクロスカントリーのレースが始まる。 隣の選手が見ている。
サングラスで分からないが睨んでいるのかはわからない。
もし、そうだったら…
(受けてたつ！かかってこいや！！)
といいたいがいえない。 内心ビビっていた。
かえって、
(勘弁してください。初レースだからかまわないで〰。)
そう思っていたら体が震えてきた。
(もちつけ、落ち着け俺。)ハンドルのグリップに力が入る。
銀色の愛車、パナソニック『マウンテンキャット』に祈る。
(頼むぜ。相棒。最後までよろしくな。)
心の中で言う。