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よし、聞かせてやろう。
……
…
…いや、聞いてくれ泣
そして存分に笑いのネタにしてくれ。
―あれは高校の卒業式―
俺は三年間同じだった女の子に恋をした。
まぁその子を好きになったのは最後の一年間だけだけどね。
卒業の日、その子に想いを告げようと思ったんだよ。
一週間前からずっと練習してた。
好きって言う練習。
他の言葉も練習した。
で、僕はありったけの勇気で下駄箱の彼女の靴に手紙を入れた。
《2:00に音楽室で待ってます。来てください。待ってます。待ってます。市村和男》
…でも彼女は来なかった。
学校が閉まるまで待っても来なかった。
卒業の打ち上げも断って…でも来なかった。
『お―!和男―!久しぶり―!』
『お、おお、久しぶり』
『お前すぐわかったよ―!』
『え?』
『だって中学校の頃から全然かわんねーもん笑』
―何年も後の成人式―
彼女を見た。
相変わらず、かわいかったな―…。
で、僕は声をかけた。
ああ…あの会話が初めてで最後の会話だったなぁ。
でも思い出したくない。
すまないけど、概要で我慢してくれ。
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