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次の日の朝、光秀は
昨夜の礼を言う為に
家康の寝屋に赴いた
光秀『家康殿、昨夜は助かり申した。しかしさすがは家康殿、機転が効きますなぁ』
家康『光秀殿。貴公は爪が甘いのぅ。』
光秀『はぁ…』
家康『なぜあの魚料理を出しなされた?』
光秀『と申しますると?』
家康『あの魚料理、信長様が知っていたかと思いか?』
光秀『はっ…しかし、あれは朝廷でも出される京料理…』
家康『それがいかんのじゃ。よく聞きなされ。わしも信長様も公家ではない。どこで生まれ育ったかを考えなされなんだか?場合によっては田舎者と馬鹿にされたと受け取られても言い訳はできませんぞ。』
光秀『そ…そんな…某はそんなつもりでは…』
家康『わかっておる。ゆえに爪が甘いと申したのじゃ。あと一歩深く考えるべきでしたのぅ。接待の相手はわしではない。 信長様じゃ。』
光秀『うっ…!』
光秀はそれまでの接待があまりにも順調に進んだので天海(半兵衛)の言葉を忘れていた
家康『これからはその金柑頭をもう少し使いなされ。わっはっはっは』
光秀はあまりの怒りと恥ずかしさで何も言葉がでずただ下を向くばかりであった
その時、家康は
いつも温厚な顔を
家康とは思えぬ程の
冷徹な顔に変え
家康『あ、そうじゃ。昨夜の件は光秀殿への貸しにしとこうかの。
場合によっては、光秀殿は信長様によって手打ちにされてたかも知れぬ。
わしは光秀の命の恩人じゃのぉ』
と光秀にいい放ち
家康はその場から消えた
光秀は一歩も動けず
下を向いたまま
光秀『た…狸め…』
と本音を漏らし
その後に光秀『の…信長め…』
っと誰にも聞こえないかのよう呟いた
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