光秀の苦悩

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『光秀様、上様がお呼びでございまする。』 ビクッ! 信長の小姓より 声をかけられた光秀 呼び出しと聞いただけで 体を震わせた 重い体を引きずり 信長のいる天守閣へと 向かった 光秀は 額を畳につけ ただ平伏していた 信長は外の景色を ただ黙って眺めていた 耐えきれない程の沈黙が続く そして、信長はやっと口を開いた 信長『光秀…』 光秀『はっ!』 信長『接待ご苦労であった…』 しかし家康の接待はまだ終わっていないはずであった 光秀『は?接待はいまだ途中でございますが…』 信長『くどい!』 光秀『はっ!』 信長『猿より…書状が参った。備中高松城水攻め中、毛利本隊が動いたようじゃ…』 光秀『毛利本隊が…』 信長『さすがの猿にも 毛利本隊が相手では 荷が重かろう…。光秀、先発隊として猿が元へ赴き猿が指揮下に入れ! 余も向かう…』 光秀『はっ!では接待の方は?』 信長『解役じゃ…。心配いたすな…うぬ程度の接待など誰にでもできるわ』 光秀『…………』 信長『いつまでそこにいる!さっさと消えろ!! 』 光秀『はっ!』 光秀は直ぐ様、坂本城へと向かった。 途中、織田家家臣に声をかけられようとも 振り向きもせず 坂本城に着くと 迎えたのは斎藤利三でも明智秀満でもなく 天海(半兵衛)であった 天海(半兵衛)『その様子ですと、手打ちは免れたようですな。』 光秀『わしは…わしは…なんの為に今まで上様の為に働いてきたのか…』 天海(半兵衛)『もし、良ければ安土で何があったか教え願いますかな?』 光秀は安土での出来事を逐一天海(半兵衛)に話した
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