真・竹中半兵衛記

本能寺の変

吉川『それは織田も同じであろう。』

小早川『いえ、違いまする。織田と毛利とでは国力の差がありまする。
織田はすぐに軍勢を回復させ再び毛利に襲いかかりましょう』

吉川『では、筑前が下に入れば信長を討ち取れるというのか？』

小早川『それは拙者にもわかりませぬが…どうも匂うのです。筑前殿は何かを企んでいるような気がしましてな。』

吉川『それでは、尚、筑前が下に入るのは危険ではないのか？』

小早川『いえ、あえて相手の策に乗ってみせましょう。懐に入れば何かわかるかも知れませぬ。』

といい終えると
小早川隆景は再び輝元の方を向き

小早川『如何なされましょう？お館様。』

毛利輝元は静かに口を開いた

輝元『我が祖父を尊敬しておるとの言葉。
例え嘘でも気に入った。
毛利はあえて筑前殿の下に入り
織田を迎撃し
領土安泰を願う！』

『ははぁ！』っと
家臣一同平伏した

輝元『では、安国寺。再び筑前殿の元へ行ってもらいたい。』

安国寺『わかりましてでございまする。』

安国寺恵瓊は再び秀吉の元へ向かった

秀吉『おおぉ安国寺殿。待ち兼ねたぞ』

安国寺『遅くなり申し訳ござりませぬ。』

秀吉『良いのじゃ良いのじゃ！それより…色好い返事はもらえましたかの？』

安国寺『はい。毛利は筑前殿に従いまする…。』

秀吉『おお！よくぞ決断なされた！輝元公は名君であられるなぁ』

安国寺『約定通り、織田家からの独立宜しくお願いしますぞ』

秀吉『わかっておる！任せておきなされ。この秀吉、上様の手よりかならず毛利を守ってみせましょうぞ』

安国寺『それを聞いて安心致しました。』

秀吉『それとのぉ…ひとついい忘れた事があるのですじゃ』

安国寺『なんでございましょう？』

秀吉『備中高松城の城主、清水宗治を切腹させてもらいたい。』

安国寺『な…なんですと！毛利は筑前殿が下に入りまするぞ！ なにゆえ、清水殿の切腹が必要か！』

秀吉『ここまで来て、止められませぬ。それに毛利に決意を見せてもらいたい。』