半兵衛の嘘

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色白く涼やかな顔だち 体が弱く痩身で 女性のような容貌 この男こそ 羽柴秀吉の名軍師 竹中半兵衛重治である 半兵衛は床に横になり 死んでいるかのように 静かに目を閉じていたが 決して眠っているわけではなかった 息子の竹中重門が 半兵衛の横に正座し ついていた その時 『はんべええぇ!!!』 っと大声で叫びながら 猿の顔をした小男が飛び込んできた 羽柴秀吉である 秀吉『半兵衛!!!』 すると半兵衛はゆっくりと目を開け 半兵衛『殿……』 秀吉『半兵衛!良かった!生きておったか!倒れたと聞いて駆けつけたのじゃ!そちは体が弱いからのぉ…わしが酷使しすぎたかのぉ…』 半兵衛『殿…大事なお話がありまする。』 秀吉『なんじゃ?』 半兵衛『殿に謝らなければなりません』 秀吉『ん?どういう事じゃ?』 半兵衛『私は殿を騙していました 私の病、全て偽りでござりまする』 秀吉『偽りだと?なら身体の方は大丈夫なんじゃな?なら良かった』 半兵衛『殿、お怒りにならないのですか? 私は主君を謀ったのですよ』 秀吉は下を向き 肩を落とすように呟いた 秀吉『わしを見縊るな。わしはそれなりに半兵衛を理解しておるつもりじゃ。 半兵衛がわしを謀ったのは、そうさせざるおえない訳があるんじゃろ?』 半兵衛は表情を綻ばせる 半兵衛『さすがは殿、私は良き主に恵まれて幸せにござりまする では、殿に明かしましょう。先程も、申した通り 私が、床に伏せていたのは病ではありません…これをご覧あれ』 と言うと半兵衛は、着物をはだけさし 肌を露出させる。 その背には、大きな袈裟斬りの傷が痛々しく浮かばせていた 傷を見た秀吉は片膝をつきたて 半兵衛に近寄ると小さい声で 秀吉『誰の仕業じゃ!?毛利の刺客か?』 と半兵衛に聞いた 半兵衛は着物を着直すと 秀吉の方に体を向け正座し静かに 口を開いた 半兵衛『信じられないかも知れませぬが、 心してお聞きくだされ 私に刺客を放ったのは… 上様です…』 すると秀吉は後ろへひっくり返るとすぐに態勢を戻し、半兵衛の両肩を掴むと 秀吉『半兵衛!お主、自分が何を言っておるのかわかっておるのか!!それに 上様の刺客という確かな証はあるのきゃ!?』 両肩を掴まれ揺らされたまま、半兵衛は 抵抗もせず 半兵衛『我が手の者に、探らせました。 私を襲った者は、上様お抱えの者…』
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