半兵衛の嘘

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秀吉は肩を落とし俯いたまま呟く 『なぜじゃ…なぜ上様が半兵衛を…』 半兵衛『上様は、才ある者を恐れています。特に欲なき才ある者を… そして、上様はそもそも私を直臣にしたかったはず、しかし私はそれを断り殿の家臣とさせてもらいました。 有能な殿の下に、私が加わる事は 上様にとっては驚異だったのでしょう』 秀吉『しかし、半兵衛がわしの家臣となり随分とたつ、何故今半兵衛を狙う!?』 半兵衛『では今、上様が織田家にとって最も驚異と感じるのは何処かお分かりですか?』 秀吉『うむ、それはやはり毛利家であろう。あと、誼を結んでるとはいえ 徳川家も驚異であろう』 半兵衛『確かに、驚異に違いはありませぬが、上様にとってもっとも驚異的なお家は… 羽柴家にござりまする…』 秀吉の目線は宙を泳いでいた 半兵衛の言葉はそれほど受け入れられなかった 秀吉は拳を握りしめ 床に落とし ドンっと音を鳴らすと 秀吉『わしは、今後どうなる…』 と力なく言う 半兵衛『上様が、天下を取ったのち 織田家を追われるか、悪ければ 何か理由をつけ斬首… 粛正される可能性がありまする 殿だけではござらん 柴田様や明智様達も例外ではないかと』 秀吉は顔を上げ半兵衛を見据えると 『半兵衛、お主がわしを謀った訳はわかった。そして、お主ならば何か考えがあるんじゃろ?』 半兵衛『はい、上様の刺客に襲われた事を逆手にとります。まず、私は刺客に襲われた傷で、死んだと上様にお伝えください。 その後、私は明智様…いえ光秀殿の下に入り謀反をおこさせ、上様を討ちまする』 秀吉は再び後ろへひっくり返り 秀吉『光秀が上様を裏切るっちゅうのか!!?』 半兵衛『はい。私がそうさせまする』 すると秀吉は何かに気づき 秀吉『まさか半兵衛…』 半兵衛『はい、そして光秀殿を討ち天下を殿に』 秀吉は目を細め 秀吉『自分が何を言っておるのかわかっておるのか、半兵衛』 半兵衛『殿、殿には天下を統べる力がございます。』
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