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男性は半ば呆然としていたが我に還り黒い男を見る。
手には… ペンライト?
「あいつ等馬鹿だねぇ―…ただの赤いペンライト向けただけで勘違いして…思い込みの力は恐ろしいものだっ!」
唖然とする男性
「あ…ありが」
「先に言っとく。」
言葉を遮り、黒い男はさっきと同じキレイな笑みを向ける。
「あんたも勘違いしなぁーいの。俺はあんたがボコボコにされようが、刺されようが、それで死のうが別に全然構わないっ興味ない。ただ、そのスーツケースの中…この前の仕事分の金だろ?」
「はっはい。」
腰を抜かしたまま、明らかに年下のやつに敬語を使う。
「それがないと俺、明日から食ってく金ねぇーのっしばらく。ごくろーさんっ。」
そう言いながらスーツケースを奪うように受け取る。
「あ…あの…。」
「おじさんのお仕事は終わり。このことはさっぱり忘れて御主人様のもとに帰りな。」
黒い男は目だけで男性を見送りケースを持ち直し踵を返し元来た道を振り返る。
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