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大学へ向かう学生達の中に天馬と涼子に視線を投げてコソコソ話をしている者がちらほらといた。
「多重人格なんだって・・・・」天馬はそんな学生達の視線に気付いていない。
「頭痛くなった時ばれちゃうって思った、目を覚ませばきっと私じゃない誰かが出てくる、隠せないって分かってたけど・・・」悲しそうな瞳は川の流れを静かに見つめている、その姿は何かにおびえていた。
「智子が晃さんの家で目が覚めたっていってたから」涼子は立ち上がり天馬を見つめた。涼子がおびえている物は自分の中の何かではないような気がした、次の瞬間学生達の群れから笑い声が漏れる。
「・・・」涼子はうつ向いた。天馬はそれに気付き学生達の群れに視線を投げる、全ての学生では無かったがほとんどの学生が涼子に視線を投げて・・・
∵∴∵「あいつ男いたんだ」∵∵∴∵「あんな性格暗いやつ好きになる物好きもいるんだ」∵∴∴∵「どうせ遊ばれてるんだろ?」∵∵∴・∴∵「見てるとムカつくんだよな」∵∴∵・∵∵・∵∴∵・∴∴・∵∵「キモ」∵・∵∴・∴
等の罵声を口にしている、小声ではなしているつもりなのだろうがハッキリとその声は二人の元へ届いていた、その笑い声に涼子は震えている。
「きこえねぇぞ!?言いたいことあんなんなら直接言えよ!?」
突然天馬が学生達の群れに怒鳴りつける、その場にいた全員が驚き足を止め天馬に視線を投げた。しかし、天馬の発する狂暴なまでの迫力に学生達は恐怖を感じて皆足早に大学へ向かい歩き出した。倉田は学生達をにらみつけ、涼子は目を丸くして天馬を見つめていた。
「倉田いいよ」天馬が倉田に声をかけると倉田は学生達の群れから視線を外した。
「ゴメン、よけいなことしちゃった、学校行きずらくなっちゃったよね」天馬が涼子に謝る。
「大丈夫だよ、ありがとう」天馬を見つめる涼子の悲しそうな瞳から涙がこぼれ落ちた。
「・・・」天馬は何も言えない。
「学校に行くのが嫌なのは今始まったことじゃないもん、皆私を無視していやがらせするの、さっきみたいにこそこそ陰口叩かれるのは当たり前。しょうがないよね、その日によって人格が違ったりして、酷いときは見るたびに人格が違うんだもん」涼子は涙を隠す様に再び川を見つめて座った。
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