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「なんだよ」
少し長めの黒い前髪から意志の強そうな瞳が覗く。
顔が良い上に頼りがいがあって気遣いも出来るなんて憎らしすぎる。
「なんでもねぇよ」
溜め息を吐いて旺汰は優也の隣に腰掛けた。
帰り道の途中、何度か旺汰は何を話せばいいのか分からなかった。
いつも通りに接すればいいのか、それともこういう場合は何か気を遣った方がいいのか。
結局当たり障りのない会話で繋いで帰宅したのだが、今の時点で見る限り優也に特に変わった所はない。
旺汰は安堵して肩の力を抜いた。
(俺のことが好きとか言ってたけど、優也はいつも通りだし)
もしかしたら自分をからかうための冗談だったのかもしれない。
(そうだ……そうだよ!!きっとそうに違いない!!)
そこで旺汰が納得した様に頷く。
優也が自分を好きになるはずがない。
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