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いつも優也と一緒にいた旺汰にとって、優也がいない生活がこんなにつまらない物だとは想像もしていなかった。
誰もいない教室で旺汰がため息をつく。
生徒達はそれぞれ部活に行ったり家に帰ったのだろうが、優也の机にはまだ鞄がある。
恐らくまたプリントを提出しに行ったか、旺汰を避けてどこかで暇潰しをしているかのどちらかだろう。
「ふっ…優也。貴様の考えなど全てお見通しなんだよ…!」
据わった目で旺汰が憎々しげに言う。
旺汰は今日はなんとしてでも優也と話をするつもりだった。
優也が戻って来るまで何時間でも待ってやる。
――例え優也が自分を避けていたとしても。
「……優也のバカ」
堪えきれなくなり旺汰がポツリと呟く。
ずっと友達だと思っていたのに。
なのに――
優也は、自分の事を友達だと思っていなかったのだろうか。
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