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『………まき』
低く囁く様な声。
その音色はいつもの優也とは思えないくらい艶めいていた。
そして優也は意を決した様に旺汰を見つめたかと思うと、その形の良い唇を開いた。
『好きなんだけど』
『え?』
ぽかん、と旺汰が口を開ける。
彼の口から出てきたのは予想もしていなかった言葉。
幼い頃から付き合ってきた優也。
バカな事ばかりして慕い続けた俺の友人。
その優也が…、その優也が――
「優也がホモだったなんてーーーーー!!!!」
回想が終わり、旺汰が叫ぶ。
その叫びが自室に響き渡った刹那、隣の家の窓がガラリと開いた。
「近所迷惑だぞデブ!!」
窓に手をついてこちらを睨み付けているのは噂の張本人の優也。
二人の部屋は窓を挟んですぐ隣にある。
そのため窓を通して会話をすることは日常茶飯事だ。
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