ソナーレ‐王女に寄せる奏鳴曲‐

王妃の死

「――悲しい？」

背後で聞こえた声にビクリとする。
それまでとはちがう、恐怖の涙が栗色の瞳から溢れる。

「王妃が亡くなって、約束が果たせなくなって、悲しいのね」

優しい音楽のような声に、少女は泣きながら言った。

「…淋しい…淋しい。悲しくてしかたないの…！心がなければよかった。そしたら、こんな思いせずにすんだはずなのに…」