王妃の死

4/4
844人が本棚に入れています
本棚に追加
/163ページ
少女の悲痛な言葉に、声の主はにたりと笑った。 「叶えてあげる…王女さま」 少女は振り向き、笑っている女を見て問う。 「ほんとう…?悲しまなくていいの?」 「ええ。ただその為には代価が必要。けれど――貴女は特別に無しにしてあげる」 少女はぱっと瞳を輝かせた。 しかし施す術は優しさではない。 これから少女に降りかかる障害と混乱した国を見られる。 代価など、それで十分だ。 「心を戻す人が現れるといいわね、かわいい王女さま。貴女を取り巻く人々の反応が楽しみよ…ふふっ」 残虐な笑い声が塔に響いた。
/163ページ

最初のコメントを投稿しよう!