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少女の悲痛な言葉に、声の主はにたりと笑った。
「叶えてあげる…王女さま」
少女は振り向き、笑っている女を見て問う。
「ほんとう…?悲しまなくていいの?」
「ええ。ただその為には代価が必要。けれど――貴女は特別に無しにしてあげる」
少女はぱっと瞳を輝かせた。
しかし施す術は優しさではない。
これから少女に降りかかる障害と混乱した国を見られる。
代価など、それで十分だ。
「心を戻す人が現れるといいわね、かわいい王女さま。貴女を取り巻く人々の反応が楽しみよ…ふふっ」
残虐な笑い声が塔に響いた。
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