第三話『片恋』(かたこい)

2/30
前へ
/800ページ
次へ
天宮庵で、天翔は一人考え事をしていた…   天翔「う~む、あぁでもない、こうでもない…」   飛龍「よぅ!天翔~っ、…元気にしてるか?」 天翔「わぁ!…って飛龍殿でござるか、脅かさないで下され。いつもそうやって背後から…」 飛龍「すまん、すまん。退屈だったのでなぁ。散歩がてら寄ってみたんだ。…ん!?どうしたそんな湿気た面しやがって?」   天翔は卜占(ぼくせん)の途中であった。気になる事があり、一人物思いに更けていたのである。   天翔「二つの新たな気…か…」 天翔は頭を掻きながら、納得いかぬ様子であった。 飛龍「おいおい!何やってんだ?見せてみろよ」   天翔「いつもなら、答えが出るのでござるが…今回は先が全く分からなくて、困っているのでござるよ」 飛龍「なんだぁ?占いか…先が分からないほうが案外楽しい事だってあるじゃないか…それよりこの前の簪…お志乃ちゃんには届けたのかよ?」   天翔「いいえ…、ほらっ、あそこに置いたままでござるよ」 そう言うと、先日、桔梗屋から奪った簪が、机上の上に置いたままであった。   飛龍「あぁ、これか…」 飛龍は机の上にある簪を手に取って、天翔にこう言った…
/800ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4521人が本棚に入れています
本棚に追加