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利吉「私たち、江戸からこうして逃げて来たんです」
天翔「誰かに追われているのでござるか?」
利吉「はい…、将来、お菊とは一緒になろうと誓った仲でして…」
お菊「私、遊廓にいたので利吉さんと一緒になる事は諦めていたんですが…」
利吉「先日、お菊がいる色里(遊女がいる町)が火事になりまして、そのどさくさ紛れに逃げて来たんですが…追われる身に…」
天翔「駆け落ちでござるか…」
飛龍「駆け落ちは分かったが、何でこんな処まで追われているだ?」
天翔と飛龍は眉間にしわを寄せて、更に尋ねた…
利吉「お菊は庄屋に、ひどく気に入られてましたから…それで女衒(ぜげん)や庄屋の雇った浪人たちに、何処へ行っても追われる立場になってしまいました…」
お菊「どうやら私を見つけた者は、高額の報酬が出るらしく…」
天翔「飛龍殿?『ぜげん』って何でござるか?」
重苦しい会話の最中、天翔は惚(とぼ)けたように飛龍に聞いた。
飛龍「なんだお前…、女衒(ぜげん)も知らないのか!?女衒ってのなぁ、女を買い取り、遊廓へ売り付けてしまう奴らの事だ」
天翔「…なるほど、で、その庄屋さんとお菊さんとは親しいのでござるか?」
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