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「堀田(ほった)!シャッターを降ろしておけ!」
若い女の声だった。堀田と呼ばれた男がボタンを押してシャッターを下ろしたのがわかった。
「わが息子たちは…死んだのだな…」
老人の声もする。
どうやら2、3人くらいの集団らしい。なぜか例の女は声を潜めて話しながら、スタスタとこちらに向かってくる。
「わかりません、総理…連絡では銃撃されたとしか…」
「いや…わかるのだ…」
「…!?」
髪の短い女がガラス窓からこちら側を覗く。彼女はすぐにガラス窓から離れた。
「…何故囚人がいるのだ?」
扉の向こう側で何か話している。
「…ここは使用禁止にしておいたはずだが…。」
「おそらく刑務官の連中でしょうが、私には…。」
「まあいい…開けてくれ。」
女が命令する。
シリンダー式の鍵が回るのがこちらからも確認できた。
ガチャリ
扉が開かれ、鍵を開けた男が扉の向こうから姿を現した。
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