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老人は答える。
「私は仙道幽一郎(せんどうゆういちろう)。内閣総理大臣として、日本の政治に40年の間携わってきたものだ。」
やはりそうか。だが、なぜこんな所に…
魅沢「一体何があったんだ?」
仙道「事件が起きたのはつい先程のことだ…。首相官邸で私と私の家族はつかの間の休息をとっていた。ところが、深夜になって謎の集団によって官邸が襲撃されたのだ。」
魅沢「なんだって!?」
仙道「うむ。精鋭護衛官であるPKF(ピースキーパー)達が私を連れて首都圏から逃げ出す所だ…。」
周りの防護服の男女、リーダーと思われる女性護衛官「零野(れいの)」、屈強な体つきの大男「倉田(くらた)」、そして、まだ視線の定まらないような若い護衛官「堀田(ほった)」の3人は黙って魅沢と仙道総理のやりとりを聞いていた。
魅沢「なぜこんな所に…?」
仙道「それはつまり…」
零野「総理、時間がありません」
PKFの零野護衛官は、独房の床を手のひらであちこちさすり続けていた。
ピッ ピッ
部屋の外で何か音がする。
倉田「堀田、お前は何をしているんだ?」
堀田護衛官は腕時計型の携帯端末をいじっていた。
ブーン…
携帯端末から小さな立体映像が照らし出された。
魅沢の姿をしている。
堀田「ありました!魅沢怜一、27歳。若い頃から非合法活動に携わり、7年前に警官殺しで実刑判決を受けてます!…典型的な犯罪者ですね。」
零野護衛官はちらりと堀田護衛官を一瞥した。
倉田「誰も聞いてない。新米は黙っていろ。」
堀田護衛官は携帯端末を閉じ、口も閉じた。
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