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「*@$#☆★∞♀!?……」
聞き慣れない言葉でアタシは意識を取り戻した。
あれ、これってタイ語?
え、ここはどこ……?
アタシはどうなったの?
目の前には水着を着た外国人旅行者や、タイ人の従業員がアタシを取り巻きながら、アタシに視線を集めていた。
そうだ、アタシ温泉に入ったまま寝ちゃったんだ……。
それで溺れかけて……。
あれ、アタシどうやって助かったんだろう……?
「……なっ、ナナコ~」
その時、派手なビキニ姿のアケミがアタシに駆け寄ってきた。
「ちょっとあんた大丈夫なの?温泉で溺れかけるなんてどんだけドジなの……」
アケミは口ではそう言っていたが、涙目になりながら本気でアタシを心配してくれているようだった。
「……うん。大丈夫だよ。アケミ、ごめんね……」
「……いいよ。それよりあんた、水着はどうしたの?一人だから裸で入ってたの?」
「え?……え~」
その時アタシは初めて自分が裸である事に気がついた。
アタシはバスタオルに包まれていたが、その中身は紛れも無く霰もない全裸になっていた。
どうして……?
さっきまではちゃんと水着を着てたはずなのに……。
無意識の内に自分で脱いだのかな……。
それとも誰かに脱がされた……?
そうだ、アタシを助けてくれたのは一体誰だったんだろう?
あの時聞き慣れない言葉を聞いたような気がした。
あれってタイ語だったのかな……?
タイ人の従業員がアタシを助けてくれたの……?
それでアタシの水着を脱がした……?
アタシは急に赤面した。
「どうしたの?顔赤いよ」
「……うん。ちょっとのぼせたみたい」
「とりあえずホテルに戻ろうよ。買い物はまた明日にしよ」
「うん……」
こうしてアタシとアケミはタクシーでホテルに戻っていった。
この時アタシはまだ気付いていなかった。
自分の運命が大きな変化を遂げようとしている事に……。
【続く】
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