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第1話
記憶の始まり
1963年4月、長男であります基弘は、広島県福山市近郊の病院で産声を上げ、幼少期は府中市で過ごします。
ここから、私がお伝えする物語は始まるのです。
さあ、ゆっくりと目を開けて・・・
1966年・基弘3歳。広島県府中市に到着。
基弘は幼少期に、府中市の市営住宅で親子3人暮らしの様子。
その市営住宅地は当時、平屋の古い木造住宅が山を切り崩した土地形状へ、まるでココアケーキにコゲ茶色のトッピング。お菓子のおうちが、幾つも並んだように隊列を組み立ち並ぶ景観で、とてものどかで素敵な町並み。
その、のどかという言葉がピッタリの家並みの中、二分するように舗装されていない急な坂を、いつもハアハアと丘へ駆け登りてっぺんから見下ろします。
すると開かれた視界が眼下に広がり、まるでパノラマ映像のように壮大で、基弘のお気に入りの散歩コース。
そんな大自然が息づく町並みの姿も、四季折々に衣装変え。
5月には甍の波を鯉のぼりが泳ぎ、12月にもなると窓から一家団欒の灯火が、白銀の世界に溢れます。
貧乏ながら友達が一杯居て、いじめや虐待もなく楽しい日々をこうして過ごしていたようです。
これから、幾つもの試練が来る事は、水先案内人の私・影法師と、この物語を手に取られているタイムトラベラーのあなた以外はだれも知らないのです。
巷では、人間の記憶は3歳から始まると言いいます。
断片的とは言え、衝撃シーンはまるでふわりとタイムスリップしている時も、連続写真がコマ送をしているかのように、私とあなたの意識スクリーンに映し出され、照人のしつけとは言いがたい言動が繰り広げられます。
1966年・基弘、生まれて3回目、冬の日曜日。
外は北風が駆け抜けて、木枠のガラスをガツガッガツと小刻みに揺らす。うす曇の退屈な午後に事件は起きたのです。
基弘は当時歌謡曲が大好き。
さしずめ今で言うJ-POP。
特に、この年6月にリリースされた星のフラメンコが大好きで、こたつ台ステージに乗りコンセントをマイクに見立て熱唱。
歓喜も絶頂期に達すると、こたつステージから颯爽と飛び降りる遊びがマイブーム。
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