序章:両親の生い立ち

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…想像できない事実。 そして 時は流れ… 孤独な少年期を経て… 青年になった或る日の出来事。 「お前、血の繋がった子供だろ?親の面倒を見るのは当たり前じゃ!」 終戦になり戦地から帰還した父親から、一度は捨てたわが息子・照人に対する執拗な言葉を浴びせます。 父親は終戦後、極寒のシベリアの地に永きに渡り拘留、強制労働の果てに中風を患っていたのです。 ただ、病を盾にとって、あたかも他人から見れば同情を買うような言葉を吐き捨てながら、住み込み先まで追いかけて寄生。 挙句の果て・・生活の全てをむさぼり尽くされたのです。 照人はあらゆる苦労の中で、実の肉親に捨てられ身寄りのない辛い時代を、又、尋常でない親子関係までも経験。 「あなた…こんなご経験は?」 私は、思わずあなたの表情を覗き込みます。 では… 9歳の照人に会いに来てどのようなご印象でしょうか? 彼は数々の辛い時期を体験して、人の痛みは熟知しているはずなのに、のちに、わがひとり息子・基弘にDVを行います。 やがてその事がきっかけとなり、和木家をまるで持ち物のように完全管理体制をとりながら、事あるごとに命令口調で下々に伝える立ち振る舞いから、後に将軍様と密かに呼ばれるようになるのです。 では、一気に時代は流れ、1966年にダイアルを合わせ幼少期の基弘に会いに行きましょう。 第1話 記憶の始まり・・・へ続く
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