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「………。」
なんだろう…
なんだか、
非難されてる……?俺。
俺に集まったその視線達は凝視するでもなく、かといってすぐ反らされるでもなくボヤボヤと此方に向けられ、そもそも俺の事を見ているのかいないのか。
「………えと、…」
未だ話し出そうとする者がいないこの異様な空間の中、奇声だが言葉を発していたとなりのヤツが普通の人間に感じられる。
助けを求めてチラリと眼をやれば、ずっと俺を見ていたのかバッチリ目が合ってしまった。
「ぃよぅっし!挨拶はすんだな!!来い、部屋教えてやるよぉっヒャハハッ」
「えっ…!ちょま……」
そう言えばさっきから掴まれっぱなしだった腕をまたグイグイと引っ張られ、あやうくバランスを崩しかけながら足を踏みだす。
この異様な空間の住人の中へ。
皆の視線はまだ反らされずずっと俺の後をついてくる。
チラッと回りに眼を走らせれば、どうやら格好がおかしいのはこの奇声の人だけじゃ無いみたいだ。
フランス人形みたいなのを抱いた、これまた人形みたいな格好の女子。
目に包帯みたいな布を巻いてて、それじゃ前見えないだろって奴。
壁向いて何やらブツブツ言ってる男。
なんだか個性的だ。
…………いや、こいつらだけじゃない。
寮内を見回せば、
俺の知ってる "普通の人間" なんて、一人も居なかったんだ。
色んなモノが入り混ざって、
まるで、
ゴミ溜めみたいだと、思った。
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