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南港に着き例の場所辺りに来たが、道明も奴等の気配もない……。
見当違いやったか……。
そう思った時、暗闇の奥にうごめく物が微かに見えた。
俺は未だ痛む左足を引きずりながら走り、そこで見たもんは……。
俺と同様に血の海に沈んだ道明の姿やった……。
『道明!!!』
呼び掛けるも息は絶え絶えとなり、返事を出来る状態やなかった……。
度重なる俺の判断ミスが招いた結末……。
道明がこうなっては、もうごまかしは通用せん。
金本には真実を打ち明ける以外に選択肢はない……。
辺りには既に岡本や成田の姿は無かった。
グッタリとした道明を車に乗せ、事務所に向かう中、道明はただひたすらに消え入りそうな声で俺に詫びを入れ続けた……。
『兄貴……すんません…………すんません……』
『無茶しよって……馬鹿タレが……。もうええから黙っとれや』
道明と出会って、大した時間は流れてはおらん。
だが奴はたった一度どつかれた俺を兄貴、兄貴と慕い、何処に行くにも付いて廻って来た。
まだまだ奴に何も与えてやれてはおらん俺の為に、命懸けで仇をとろうとしてくれた事が、俺は嬉しかった……。
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