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階段を二階まで上がり、手前から三つ目の教室、そこに蒼夜のクラスである二年三組はあった。
ドアを開け、友人との挨拶もそこそこに彼は自分の席に座る。
窓際の後ろから三番目、微妙な席だ。
黒板を見ると、黒板の右端には今日の日付が書いてある。
今日は五月十三日の火曜日。
もうクラス替えして一ヶ月になるのか、そう思いクラスを見渡す。
ほとんどの人は、もうこのクラスにも慣れたのか、友人とうるさく騒いでいる。
そこまで嫌いな奴もいないが、普通で退屈なクラスだな。と、蒼夜は勝手にクラスを評価した。
しかし、水樹を見つけると、まぁ水戸野さんがいるからいいか、と、しばらく水樹に見とれてしまう。
「お前は、ほんとに水戸野が好きだよな」
前の席から聞き覚えのある声がする。
顔を上げると、政人がいたが、面倒なので無視した。
しかし政人は懲りずに近よりながら話かけてくる。
「なぁなぁ、あそこの二人ってやっぱすげぇよな」
そう言って、政人が指した指の先には、水樹とその友人であろう人物が話していた。
「何がすごいんだ?」
蒼夜は、水樹の事となると少し気になるため、政人の話に乗ってみる。
「だってお前あれだぞ!クラスの二大マドンナが親友同士なんだぞ!」
政人は少し興奮しているのか、声を荒げながら言う。
マドンナは古いだろ、そう思いながら、蒼夜は水樹の友人へと目を向けた。
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