-日常・少しの違和感・意味深な視線-

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蒼夜が顔を上げて時計を見ると、時刻は1時40分を回った所だった。 今は5時間目の授業中である。 上げた顔を戻しながら、蒼夜は、もう少しだな、と呟く。 そして、机の上にある教科書ではなく、机の下に隠している漫画へと目を落とした。 しばらく読むと、漫画にも飽きて窓の向こうにある空を見上げる。 水に一滴垂らした青の絵の具よりも薄い色をどこまでも広げる、とても澄んだ綺麗な空。 しかし、蒼夜はいつもと少しも変わらない空が、まるで、これからも続いていくであろう退屈で平凡な日常を暗示しているような気がして、とても綺麗だとは思えなかった。 「たまには、赤とか青とか黒以外の色にもなれよ」 そう言って、ため息をつく。 何か漫画のような事が起きて欲しい。 彼はいつもそう思っているのだが、現実には、そんな事が起きるはずもない。 蒼夜はもう一度ため息をつき、机の下へ目を落とす。 すると誰かの視線を感じる。 彼は、誰が見ているのか大体予想はつくが、顔を上げた。
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