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学園に着いた頃には、蒼夜は真っ白に燃え尽きそうな程疲れきっていた。
ハァハァと息は荒く、目も死んだように生気がない、極めつけには、
「ハァハァ……くそっ……エリザベスめ…あいつのせいで……」
と、小さく呟いている。
どこから見ても危険人物である。
その危険人物に声をかける少年がいた。
「よう、蒼夜何してんだ?」
片手を上げ、爽やかな笑顔と共に声をかける。
しかし蒼夜はエリザベス……エリザベスと呟くばかりでまるで反応しない。
「えっエリザベスって誰だよ?」
そして少年は少し考え込むような仕草をしてから話し出す。
「…まさか、これか!これなのか!」
そう言って、うれしそうに右手の小指を立てる。
しかし蒼夜はまだ少年に気付かずにぶつぶつ呟いている。
だが、少年はそんな事を気にも止めずに、また蒼夜に話しかける。
「なぁ、エリザベスって事は外人だよなぁ」
蒼夜はぶつぶつ呟いていて返事もしない。
「てことは、金髪だよな!」
蒼夜は返事もしない。
「ブロンド美人だよな!」
蒼夜は無言で歩いている。
「いいなぁいいなぁ」
「……………」
「……………」
「……………」
「なぁ何か話せよさすがに泣くぞ」
そう言って少年は蒼夜の肩を掴む。
蒼夜は、ハッと振り向くが、少年の顔を見て一瞬で落胆した。
「はぁ、……何だお前か。おもしろくもない」
そう言い、ご丁寧に首を振りながら、肩を竦めてみせた。
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