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今日もいつものようにタイムカードを押してこのさびれた会社から出て、いつものさびれた町を通って帰路につく。 僕はこの町が嫌いだ。 ここには何もない。名所になるところも、有名な料理店も。海岸もあることはあるが、あるだけだ。 年寄りが時々ゴミや流木を拾っているくらい。 活気なんてものは有り得ない。 こんな町で僕は死んでいくのだ。 ただ、こんな所だが好きなものが1つだけある。 僕の部屋から見える夕陽だ。 僕は夕陽と海が交わるのを見ている時、地球が終わるような奇妙な感覚にいつもとらわれる。 その感覚がどうしようもなく好きなのだ。 地球の死によって自分の生を感じる事ができる。 自分の存在を確認することができるのだ。 いつもは部屋でみているのだが、何故か今日は外で見たくなった。
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