3/4
前へ
/5ページ
次へ
僕の住んでいるアパートから海まではものすごく近い。 めんどくさがりな僕だがさすがにこの距離は苦にならない。 今日の晩御飯は何にしようかと考えている間についてしまった。 まだ献立は決まってなかったが、まぁいいか。と思い、とりあえず煙草に火をつけ、世界の終わりを見ることにした。 部屋から見るのと海岸で見るのとは大違いだな。今度からはここで見ようか。 等と考えていると不意に横から声がした。 「夕陽を眺めているんですか?」 横を向くと制服姿の見知らぬ女の子が立っている。 「えぇ。君も眺めにきたのかい?」 「いいえ。私は夕陽がキライ。」 「なんで?」 「世界の終わりを見ているみたいじゃない。」 「ふうん。僕は夕陽は好きだけどな。」 「なんで?」 「世界の終わりを見てるみたいだからね。」 「そう、私と同じことを言うのね」 「そうだね。ただ、それについての価値観が違う」 「そうね。ただ価値観が違う人と話すのは楽しいわ。」 「ふうん。そうかい?」 「そう、とても。」 それから僕らは他愛もない会話を続けていた。 「じゃぁ私は用事があるのでこの辺りで。 また明日。」 「えぇ。また、明日。」 短い間だと思っていたがすでに夕陽は落ちていた。 結構しゃべっていたんだな。などと思いながら、僕もアパートへ帰ることにした。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加