15人が本棚に入れています
本棚に追加
本日の学校の授業がすべて終わり、あっという間に放課後。クラスのみんなは散り散りになってそれぞれの用事をしに向かう。
僕はというと、部活みたいに他人と一緒に何かやるというのは苦手で入っていない。いや、他人と触れ合うのが苦手なのだと近頃は思う。
ということで家に直行ルートを取るしかないわけで。
僕が家路への道を辿っていると「待ってー」と言って、僕の隣に女の子が来た。そしてはぁはぁと肩で息をしている彼女はまだあどけない顔立ちをしているが、その身体つきは大人に向かっているところが魅力的というか何というか……。
さて、落ち着いたところでいつもの会話……。
「何でヨッシーは影を使って戦わないの?それじゃいつまで経っても影を使う犯罪者達には勝てないよ」
僕の数少ない友達、海藤美奈はいつもの台詞を僕に言う。それはもう、耳にタコが出来る程。まぁ、彼女なりの気遣いなのだろうが。
「いいんだよ。別に。代わりに勉強を頑張ってるんだから」
ちなみに僕は学年2位。それで1位は……僕の横でフフンと子供っぽく鼻を鳴らす美奈さんだ。
「でも私に負けてるんじゃない?」
「うっ……」
返す言葉が見つからない。
「でしょ?」
「……はぁ~……」
こんな人になにもかも負けている自分が情けない。人気も、影の力も、勉強も、運動も。
「まぁまぁ頑張りたまえ」
美奈はぽんぽん、いえ、バシバシバシバシと僕の肩を叩いた。
「はいはい……」
その後は適当に相槌を打ちつつこのごろ巷で噂の連続通り魔の話を話半分に聞かされたあと、美奈と別れた。
『お前も適当な奴だね』
イチがいきなり俺の心に話しかけてくる。
「いいんじゃないか?別に……僕は困ってないし」
『私は運動してる人が好きだな』
僕に対するイヤミですかコノヤロー。
「だから体力をつけるために歩いてるだろ」
『……そういうことじゃないよ……』
そしてなんだかんだで無事帰宅。
最初のコメントを投稿しよう!