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「いいよ、あげる」
ルイはそういって、どんぐりを小さなシマリスに手渡しました。
「本当? ありがとう!」
小さなシマリスはとても嬉しそうな顔をして帰っていきました。
ルイは少しだけ後悔しましたが、あの笑顔を思い出すとほわほわした温かい気持ちになることができました。
「ただいま」
「あら、おかえり」
お母さんはなんのてらいもなく、普段通りに挨拶を返してくれました。
「どんぐり……なかったんだ」
ルイは残念そうにうなだれます。その様子を見て、お母さんが思い出したように言いました。
「そういえばムササビさんが来て、何か置いていったわよ」
「え?」
ムササビさんが? なんだろう。
ルイは、お母さんが指差すムササビさんからの贈り物を手にとりました。茶色い葉っぱに包まれた中身。それはどんぐりの実でした。
ルイはその予期せぬ贈り物に驚くと同時に、大きな喜びを感じます。
ルイは歓喜に浸っていると、その包みの裏に書いてある文字に気が付きます。それはムササビさんからの手紙でした。
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