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「あ、あの……ジル君」
「あん? なんだよ」
ジルの目がまたギロリと光り、ルイは震え上がってしまいました。
「あ、う……なんでもない」
「なんだよ。わけのわからないやつだな」
ルイはうなだれながら言います。
「ごめん……」
ルイはジルのどんぐりを諦め、他の場所へ探しに行くことにしました。
ルイは森の中をどんどん歩きます。やがて森の広場に着きました。
ここにはいつもどんぐりがたくさんあります。それを期待してやってきたルイですが、広場にはたくさんどころか、どんぐりは一つも見当たりません。
「そんなあ……」
がっくりと肩を落としたルイは絶望を感じます。
するとルイの頭上で、シュバッ、シュバッという音がしました。それに気が付いたルイが上を見ると、木と木との間を何かが飛び回っています。
その様子を見て、ルイはそれが誰だかすぐわかりました。
「ムササビさん!」
ルイが声をあげると、その飛び交っていたものは動きを止め、ルイの元へと降りてきました。
「やあ、ルイ。どうしたんだい」
ムササビさんは優しそうな声を出しました。ムササビさんはいつもルイを助けてくれる、とても優しいお兄さんのような存在です。ルイはそんなムササビさんが大好きです。
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