ほわほわどんぐり

3/11
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
「あ、あの……ジル君」 「あん? なんだよ」  ジルの目がまたギロリと光り、ルイは震え上がってしまいました。 「あ、う……なんでもない」 「なんだよ。わけのわからないやつだな」  ルイはうなだれながら言います。 「ごめん……」  ルイはジルのどんぐりを諦め、他の場所へ探しに行くことにしました。  ルイは森の中をどんどん歩きます。やがて森の広場に着きました。  ここにはいつもどんぐりがたくさんあります。それを期待してやってきたルイですが、広場にはたくさんどころか、どんぐりは一つも見当たりません。 「そんなあ……」  がっくりと肩を落としたルイは絶望を感じます。 するとルイの頭上で、シュバッ、シュバッという音がしました。それに気が付いたルイが上を見ると、木と木との間を何かが飛び回っています。  その様子を見て、ルイはそれが誰だかすぐわかりました。 「ムササビさん!」  ルイが声をあげると、その飛び交っていたものは動きを止め、ルイの元へと降りてきました。 「やあ、ルイ。どうしたんだい」  ムササビさんは優しそうな声を出しました。ムササビさんはいつもルイを助けてくれる、とても優しいお兄さんのような存在です。ルイはそんなムササビさんが大好きです。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!