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ルイはそのムササビさんに一身の期待を寄せました。
「ムササビさん、僕はとてもお腹が空いているんだ。何か食べ物をわけてくれない?」
そう言った途端、にこにこしていたムササビさんの顔色が、みるみるうちに悪くなっていきます。そして、蒼くなった顔で言いました。
「……ごめんね。今僕は何も持っていないんだ」
すると、キラキラと輝いていたルイの瞳は忽ち光を失い、再びしょんぼり顔に戻ってしまいました。
「じゃあ、またね」
とムササビさんは吐き捨て、ルイに背中を向けて歩いていってしまいます。
ルイはいつも優しいはずのムササビさんの背中を見つめていると、悲しい気持ちになりました。
「あっ!」
すると突然、ムササビさんが大きな声をあげました。ムササビさんはしゃがみ込んで、何やらもぞもぞ動いています。
「どうしたの?」
様子のおかしいムササビさんに、ルイが尋ねます。
「あ……。い、いやなんでもないよ」
ムササビさんはやっぱり何かがおかしいです。顔だけ振り向いてお腹をルイの方に見せようとしません。
じゃあ、と再びムササビさんが歩き出そうとしたとき、ムササビさんのお腹の辺りから何かがポトッと落ちました。
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