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やがてルイは、少年の手が握っているものに気付きます。
どんぐりだ……。
そこにはとても美味しそうなどんぐりがいっぱい入っていました。
体力が底をつきかけてたルイは、最後の力を振り絞って、欲しいとアピールをします。
「な、なんだ、こいつ?」
「それが欲しいんじゃないの?」
ルイがうんうんと頷きます。
「やーだよ! せっかく集めたのにやるもんか!」
そういって少年はルイに向かってあかんべーをしました。それでもルイは必死で訴えかけます。
僕はとってもお腹が空いているんだよう……。
そんなやりとりをしていると、少年のすぐ上から白い手がニュッと現れました。その白い手は、少年の持っているたくさんのどんぐりの実から一つを拾い上げ、ルイの前にポトリと落としました。
ルイは驚きながらもその実を素早く拾い上げます。ルイはその白い手に感謝しながら、白い手を根元まで辿ります。そこには、少年たちよりも背の高い人が立っていました。
「あ……! 何すんだよ、姉ちゃん!」
「リス君が可哀想でしょ? こんなことはしちゃ駄目」
その人の声はとても綺麗で、澄んだ声色をしていました。
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